月明りの下で
SilverRainのキャラクター+αによるブログです。知らない方、なりきりが苦手な方は戻ることをお勧めします。
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誓いの羽根の銀飾り。
その、秘められた物語。
それは、ある日の回想。
舗装も施されていない道なき道を、一人の女が歩いている。
その女が向かう先には、寂れた墓所のような施設があった。
その入り口には、また一人の女…と言うには、些か幼い印象が残る少女が座っていた。
少女は薄手の服と、羽根を模ったペンダントを一つ、身につけている。
一見、どこにでもいそうな印象を受けるが、その纏う雰囲気は…使命を持っているように見える。
少女は女の姿を確認すると、
「…誰だね、君は。迷い込んだのなら今すぐ立ち去れ。立ち入る心算ならば命を賭けろ」
と、外見に似合わぬ、低めの声でそう告げた。
しかし、相対する女は無言。
「…聞いているのかね、君」
再び少女が問いかけると、女は口を開いた。
…しかし、その口から放たれたのは、少女の問いに対する答えではなかった。
「貴女は、フランチェスカ・ネーヴェという名ではないか?」
意外な存在から、意外すぎる質問。
「…名を尋ねるならば、まずは自分から名乗るのが礼儀ではないかね?」
少女は、そのような状況にあっても冷静さを失わず、挑発を返す。
「すまないが、私には貴女に誇りを持って名乗れる名が無い」
「…そうか。まぁいい。確かにフランチェスカ・ネーヴェだ。君は何者だ?」
改めて、質問を変えて問うフランチェスカ。
女は俯きながらも、はっきりと答えを告げる。
「私は、君の友を手にかけた者だ」
…しかし、その答えは先程の問いよりも更に意外なものだった。
「…笑えない冗談だ」
「冗談ではない。私とて嫌だが…これは、紛れも無い真実」
フランチェスカは冷静を装っているが、その手は振るえている。
「ならば、証拠を見せたまえ。それは触れてはならない過去。話の種にされるのは不愉快だ」
すると女は、羽織った外套から一つのペンダントを取り出した。
そのペンダントは、今まさにフランチェスカがしているものと瓜二つ。
強いて言うのであれば、もともと表に向ける向きが違うのだろう…
フランチェスカがしているものとは、鏡合わせのような作りである事か。
「…このペンダントに見覚えがあるだろう?」
フランチェスカが息を呑む。
それを確認して、あえて問う女。
「…あぁ、それは…紛れもなく、フランが友に贈った物だ」
このペンダントはもともと二つで一つ。
二つで一つのうちは、翼はそれだけで空を舞う。
しかし分かれれば、二つを揃えて空へと羽ばたく。
一人でできないことも、二人ならばできる。
そんな意味が込められた、銀の羽根の首飾り。
「…あえて言うまでもないだろうが、これは君の友の首にかかっていたものだ。
私は、先日銀誓館によって救われ、操られていた事実を知った。
しかし、どんな状況であれ…貴女の友を手にかけたのは事実。
殺される覚悟をもって、今ここにいる。私は、貴女の意向に従おう。それが、騎士としての誇りだ」
「…マリア・ロッシ(名も無き者)よ。フランは、確かに君を殺してやりたいほど憎い。
しかし、それをやってしまっては…君達となんら変わらない。
互いに手を取り合おうとあの場所に集い、そして今君を殺してしまえば、それは本末転倒だ。
君は生きて贖いたまえ。そして、リッツの分もあの場所に貢献し、命尽きるまで戦え」
「…そうか。それが貴女の意向と言うならば、それに従おう。
私は…私の誇りにかけて、命尽きるまで戦い抜くことを誓う。そして、この身を賭して貴女を守ろう」
女は、フランチェスカに近付くと、首飾りを手渡そうとした。
「それは君が持っていたまえ。二度と、同じ過ちを繰り返さぬように」
フランチェスカの言葉に女は少しきょとんとしたようだが、ふっと微笑を浮かべた。
「…承知した。この罪こそが、私と貴女をつなぐ絆だ」
こうして、羽根の首飾りを巡る物語は終わりを迎え、
吸血鬼と人狼の…不思議な縁の物語が始まったのだ。
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