月明りの下で
SilverRainのキャラクター+αによるブログです。知らない方、なりきりが苦手な方は戻ることをお勧めします。
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真実が砕かれた日。
ある帰りが遅くなった日のこと。
闇夜に蠢くモノの姿を見た。
(注:長くなってしまったので、読まれる方はお暇なときにどうぞ)
闇夜に蠢くモノの姿を見た。
(注:長くなってしまったので、読まれる方はお暇なときにどうぞ)
友人達と会話を楽しんだ、学校の帰り道。
この日の帰り、空は近所の店舗で買い物をして帰る予定だった。
その店は遅くまで営業しているものの、あまり調子に乗って友人と話しすぎたせいで、買い物を済ませた帰りは随分と遅くなってしまっていた。
空:「大分遅くなってしまいました…。眠都ちゃんたちに心配をかけていないといいのですが…」
小走りに道をゆく空。
薄暗い路地に差し掛かると、浮浪者らしいものがそこにいた。
「それ」は空の姿を見るや、おもむろに近付いてくる。
空は歩みを更に速めて、距離をとろうとする。
…しかし、一向に距離が開かない。
そうこうしている間にも、何故か似たような浮浪者が集まってきている。
今や、その数5人。
ざっ、ざっ、ざっ…と、妙に揃った歩調で追いかけてくる。
空:「な、何ですか、あなた達は…? 私に何か用ですか?」
そう問いかけるも、返事はなく距離がつまるばかり。
怖くなって、駆け出す。
…それでも、距離は変わらない。
…どこかに隠れなければ。
隠れてやり過ごせば、きっと何とかなる。
そう信じて、空は路地裏へと入っていった。
隠れてから数分が経っただろうか。
もう大丈夫だろうと思い、道を戻ると…
そこに、いた。
自らの意思で、距離を詰めてしまった…。
「彼等」は、その表情に笑みを浮かべたように見える。
…もう、ダメかもしれない。
…イグニッション!
すると、どこからか誰かの声が聞こえた。
フラン:「すまない、時間を稼いでくれ、リッツ!フランはその間に皆に知らせる!」
今度ははっきりと、聞き覚えのある声が聞こえた。
その声が耳を抜けるとほぼ同時。
眼前にいたはずの「何か」を吹き飛ばし、見覚えのない女性が立ちふさがっていた。
その女性は仮面で顔を隠していたものの、柔らかな笑みを浮かべて、まるで…そう、空の盾になるかのように。
しかし、それでも多勢に無勢か。
吹き飛ばされたモノも態勢を立て直し、妙にゆっくりと戻ってくる。
その間に、周囲をうろついていた4人もこちらへと向かってきていた。
空:「…え、えと…。ど、どうすれば…」
空が混乱している間にも、戦闘は続いていた。
リッツは空をかばうだけ。決して自らは攻め込もうとしていない。
…そう、あくまでも「時間を稼ぐ」という指示を全うするつもりだ。
だが、それでも相手の手数が多すぎる。
リッツの体力は徐々に削られ、ついに尽きてしまった。
すぅっ、とリッツの存在が希薄になり、やがて消えてしまう。
しかし、リッツはその意義を果たしていた。
アル:「消えて、なくなれっ!」
辺りを一瞬、眩い光が覆う。
無数の光る蜂が、空の周りに蠢いていたモノ達を貫いた。
空:「あ…アル、ちゃん…?」
アル:「クー、わたしがきたからにはもう大丈夫だよっ。安心して」
空:「う、は…はい」
アル:「それに今、フランがみんなを呼びにいってる。きっと、助けるから…」
酷く動揺しているように見える空を、アルは優しく励ます。
そして、その手に青と紫。一対の刃を構え、友に仇成すモノを鋭く睨みつけた。
アル:「リッツはやられちゃったんだね…。ありがとう。後でちゃんとお礼をしないと」
アルは自らに白燐奏甲を施し、再び空の盾になるように動く。
未だ動き続ける「それ」は、アルの目にははっきりと動く死体として映っていた。
その動く死体たちは、不思議と統制された動きを以てアルに襲い掛かる。
始めのうちは何とか捌いていたものの、徐々にその動きが鈍くなっていく。
そして、3体に気を取られている隙に、背後を取られてしまった。
アル:「しまっ…!」
しかし、背後をとってきたものの動きが不意に止まった。
その足が、影でできたような腕に掴まれていたのだ。
雪霞:「フィーネさん、遅くなってすみません!」
アル:「セッカ!本当に遅いよっ…」
その腕は、魔剣士が扱えるアビリティのひとつ、ダークハンド。
足を掴まれ引き倒され、挙句に引き裂かれたその動く死体の1体は、ついにその動きを止めた。
…残りは4体。
雪霞はアルの背後、空の安全性を補う上での死角に立ちふさがると、旋剣の構えをとった。
雪霞:「参ります。うちの名にかけて、指一本触れさせません」
言葉を発するや否や、刀を黒い影が覆った。
その影の禍々しさと共に、また別の死体に斬撃を打ち込む。
攻撃を受けたモノは少し怯んだものの、未だに健在のようだ。
雪霞:「随分、頑丈なようですね…」
アル:「そうみたいだね。セッカ、奏甲をかけるよっ」
雪霞:「はい、お願いします。唯月さんたちがくるまで、持ちこたえましょう」
アルは雪霞の刀に白燐蟲を纏わせると、再び死体たちと対峙する。
すると今度は、残っている4体の内3体が同時にアルに攻撃を仕掛けてきた。
アル:「ま、またわたし…。でも、負けるもんかっ!」
フラン:「あぁ、がんばるのはいいがね…。しかし君達、少し背後に隙がありすぎだな」
そんなのんきな声が聞こえたかと思うと、アルに襲い掛かろうとしていた死体たちが切り刻まれていく。
フラン:「…どうかね、フランの輪舞は。なかなかのものだろう?」
背後から切り倒された死体たちは、まだ動いているものの満身創痍といった様子だ。
最早、まともに動けるのは残り1体といっていいかもしれない。
アル:「フラン、まだ生きてるみたいだよ…。油断はしないようにね」
雪霞:「いいえ、問題はないでしょう。あのくらいであれば…」
雪霞は小さく呼吸を整えると、周囲に強烈な吹雪が吹き荒れた。
蠢いていた死体たちは凍て付き、先ほどフランの攻撃を受けたモノたちのうち2体は、それで動きを止めた。
フラン:「ほぅ…。面白いことができるようだね」
雪霞:「いえ、それほどでも。それに、まだ残っています…」
残すは、倒しきれなかった一体と、こちらの様子を伺っているかのようなもう一体。
眠都:「てぁぁぁぁ!」
不意に、上から炎を纏った鳥が降りてきたように見えた。
煌々と輝く炎の一撃は、仕留め損なってしまったモノを完膚なきまでに灰燼へと変える。
眠都:「…ん、遅くなってごめん。お待たせ、みんな」
しかし、先の気魄とは裏腹に、やけにのんびりとした口調でそう言う眠都。
これで、皆が揃った。
対して、唯一未だ動き続けるものは、初めから他のものと動きが統制されていなかったように思える。
恐らくは、この一体が全てのものの動きを統率していたのだろう…。
フラン:「では、早々にお引取り願おうか。そろそろ帰らねば明日に響く」
アル:「クーの介抱もしないといけないしね…」
アルはそう言うと、未だ混乱から抜けられていない空に目を向けた。
膝を抱え、何かに怯えるように蹲っている。
眠都:「…帰りが遅いと思ったら、まさかこんなことになっているなんて…」
悔しそうに歯噛みをする眠都。
その様子を見て、雪霞はその肩に手を置いた。
雪霞:「唯月さん、それは今考えるべきことではありません。今は、アレを…」
言いかけた雪霞の視線の先には、先ほどまでいたはずの蠢く死体の姿はなかった。
雪霞:「い、いなくなって…!?」
眠都:「…ごめん、本当に…。私がもう少し早く来れていれば…」
アル:「ミント、とりあえずクーを連れて帰ろう。反省はあとだよ」
フラン:「…そうだな。リッツも労ってやらねばならない」
皆は何か釈然としないものを感じながらも、空を連れて帰路についたのだった…。
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